早いもので今回日本にいられるのもあと一週間弱となってしまいました。
実は私のクラスメートのフィアンセの家族が、こちらに住んでいます。
高校生になる妹さんがいるというので、今日はその人に娘のベイビーシッターをたのみました。
やっとこさ得た三時間だけの自由です。
この三時間でいったい何をしようかと、1週間ぐらい前から考えていました。
そしてまずは今回、必ず行きたいと思っていた場所に行きました。
市内にあるモスバーガーです。
フライドポテトのSとホットウーロン茶を注文し、階段を登って二階席に。
ちょうどほぼ一年前、私は同じお店の同じ席に腰掛けていました。
その時の注文はフライドポテトのS,グリーンサラダ、ウーロン茶でした。
7月1日に告知を受け、夫がアメリカから急きょ駆けつけてくれた数日後の事でした。
逃げ道のない、暗く深い穴のどん底に落とされたような気持ちでいた自分。
でもどうにか自分の病気の事を理解しよう、負けずに病気と闘おうと必死でした。
一番つらかったのは、自分の将来が読めなかった事。
医者でも、占い師でも誰でもいい。私が将来どういう運命なのか、教えてくれる人がいればとどんなに気が楽になるかと思った事か。
でも今日はこのモスバーガーの椅子に腰掛けて、一年間の治療を終えた私がいました。
そして、もし一年前ここにいた自分に声を掛けれるとすれば、何と言うだろうとふと考えてみました。
結論は・・・「何も言わないでほっておく」
この一年、肉体的にも精神的にも辛い事があったけれど、「乳がん」という病気をしたことで貴重な体験をし、いろいろな事を学びました。そして素晴らしい人にも沢山出会えました。
自分で言うのも変だけど、この一年で私も少し人間的に成長しました。
もし一年前の自分が、今日私がこうして元気にいる事を知っていたら、今のように少し成長した自分に会う事ができなかったでしょう。
そしてこれからもどのような未来が待っているのか、全く予想もつきませんが、それでいいのだと気づきました。
未来が分からないからこそ、今生きている一分一秒を大切にできる。
絶えず身を引き締めて生きていくことができます。
何だかんだいって、人生はうまくできているのかもしれませんね。
さて、モスバーガーにいたのは1時間ほど。
本当はちょっと美味しい物が食べられそうなレストランにでも行って、一人っきりの贅沢な時間を過ごすのもいいなあと思っていました。
でも結局足を伸ばしたのは近くのモアーズにある平坂書房。
1-2冊本を買って出てくるつもりが、一冊の本に目がとまり立ち読みしてしまいました。
その本の名は「アシュリー ~ All about Ashley ~」
カナダにすむ、プロジェリアという病気に犯された14歳の女の子が書いた本です。
プロジェリアの患者さんは普通の人の10倍の速さで加齢が進み、平均寿命は13~14歳と短い。
アシュリーちゃんは今年の4月に17歳の若さで他界しています。
彼女は幼い時から自分の寿命が短い事を知っていました。
そして人生の一分、一秒を思いっきり生きたのです。
17歳という若さで、おそらく多くの大人よりも人の一生のうち何が大切なのか深く理解していたことでしょう。
私自信、癌を告知されてから、命のはかなさと美しさについてより深く考えるようになりました。
そしておそらく自分が健康であったら、今の境地には達していなかったでしょう。
ということで、貴重な3時間の自由時間は軽いお茶タイムと本屋での散策と立ち読みで終わってしまいました。でも自分を発見できた時間、そしてとても幸せなひと時でした。
命日
4 年前